デッサン力は、意外なところで役に立っている
デッサンが大学の医学部の講義に、活用されていることは嬉しいことです。
中部経済新聞に、「患者を診る目 美術で養う」というタイトルの岡山大学の教授の記事が掲載されていました。記事の内容です。
岡山大学の医学部の5年生に2時間デッサンの講義をカリキュラムに導入しています。お互いの顔を患者さんと思って描いたり、美術作品を論評する課題もあります。
この授業をすることによって、患者さんの顔を見て、病状を診断するテストでは、得点が4割アップし、病状を表現する言葉も豊かになりました。医師は、患者の体だけでなく、心にも何が起きているかを観察して、最適な治療を見極める力が必要です。
別のチームの研究では、芸術に取り組んでいる学生は、激務に伴う「燃え尽き症候群」になりにくいことが示された。
私は、この記事を読んで、驚きました。まさか医学部で、デッサンの講義があるとは考えてもみなかったからです。知識だけで患者さんをみるのではなく、デッサンをする時のように、色々な角度から総合的に見ることができるような医師が必要なのかも知れません。
芸術から優れた医師を育てるのは、古くからあるそうです。ヨーロッパでは、レオナルド・ダビンチが人体解剖画を残していることは有名な話です。
デッサンのレッスンにいくと、形がどうなっているか、形の比率はどうか、明るいところと暗いところ、また影もよく観察して、形そのものを客観的に表現します。観察と想像力、見極める力などが、総合的に必要になります。
カウンセラーという仕事も、一つの点だけを見るのではなく、総合的に人をみながら、想像力を働かせることも大事な要素であると考えています。
ある先生が、絵を描くことは、「想像力、構成力、観察力、そして考える力と最後までやり遂げることを学ぶ」と言っていました。私は、この考え方に共感しています。客観的に物事をみる力がつくようにも感じています。
絵をかくことで「燃え尽き症候群」になりにくいという点も理解できます。なぜならばカウンセリングの療法として、アートセラピーなど、絵を描くことで心の問題に気づいたり、たまっていたストレスを発散していくような方法もあるからです。
私自身も、愛犬をなくしたときに、愛犬の絵を描くことで、感情に向き合い、少しずつ愛犬と別れた悲しみを減らしていったという経験をしています。
医師やカウンセラーという仕事上だけでなく、日常生活にもメリットがあるのではないかと考えます。たとえば、総合的に物事を見る力がつくことで、ストレスと感じていたことが、気にならなくなるかもしれません。
また、いつも自分の考えや気持ち人に伝えられなかったことが、言葉で表現する力がアップして、思っていることを伝えやすくなるかもしれません。
このように考えると、日常の色々な場面で、デッサン力を活用できそうです。
投稿者プロフィール
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人間関係の悩みから開放するサポートをするカウンセラー。名古屋で個人カウンセリングを中心に活動。
OL時代、人間関係で悩み、過呼吸になり自分が苦しくなったことで、心理の勉強をし始めたことがカウンセラーの道へ進むきっかけとなったが、カウンセリングを実際に受けることで自分が変わり楽になったことから、同様に苦しんでいる人のサポートをするカウンセラーになる。
カウンセリングが、特別なものではなく、もっと日常生活に密着し、一人一人が自分に素直に生きていくことができるようにサポートをする活動にを展開中。
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